私の愛しいアップルパイへ
私は自らの作品を作るときに“過剰な反復”を重要な要素の1つとして位置づけています。特に2小節~4小節の極めて短いフレーズの繰り返しです。所謂「ループ」と言われるものです。
なぜ単なる繰り返しがこんなにも蠱惑的に響くのか不思議に思っていましたが、最近になって理由が分かってきました。私には“過剰な反復”の中に、自らの根底にある「破壊の衝動」を見ているのです。
同時に、単なる繰り返しではいけないことも分かってきました。消え入りそうなか細い旋律が次の旋律を呼び込み、1つ1つがぶつかり合いながら積み重なっていき、徐々に取り返しがつかないほどの轟音になっていくのが良いのです。
そこには、私を押さえつける固定観念が徐々に壊れていき、私の衝動が徐々に開放されていく希望の世界が鮮明に見えるんです。言葉にできない期待感が込められた音です。
それは「ループ」というよりも「スパイラル」といった方が正確かもしれません。
貴下の従順なる下僕 松崎より