私の愛しいアップルパイへ
世界は虚無であるとする「ニヒリズム」に対抗する手段として、哲学と科学にならんで人間が持っている武器が芸術である。
おお、私はあなたに真実を教えよう。大理石像の如く冷徹になれば、世界に普遍的な目的はないし、どこまでいっても”おおよその世界”でしかない。理性的に考えればニヒリズムに抗うことはできないだろう。
にも関わらず、人間はニヒリズムを真に受け入れることなどできないと私は思っている。なぜなら、私もあなたも自分が生きていることを知ってしまっているからだ!
ではなにをすればいいのか。一般的に「仕事」と呼ばれるような目的論的原理に根ざしたあらゆる活動はニヒリズムの前に無力だ。
でも、芸術なら別だ。自らの生命を燃やして空虚に向かって「自分はここに居るんだぞ!」と叫ぶが如き芸術は、細やかかもしれないがニヒリズムへの対抗手段になる。
いや、むしろニヒリズムという抗いがたい現実を前にしてこそ、芸術はより鮮やかに燃え、意義深い仕事になるであろう!
音楽はニヒリズムとともにある。
▼今日はAbrahamの制作を進める。大きな流れがかたちになった。
貴下の従順なる下僕 松崎より