私の愛しいアップルパイへ
私が思うに、音楽家というものに最も必要なのは、優れた音感や演奏技術ではありません。
「自分の音楽的衝動にどこまで一途でいられるか」です。
これは神が音楽家という人種に与えた永遠の命題です。きっと人の目を気にしたくなることもあるでしょうし、そうせざるを得ない状況に陥ることもあるかもしれません。もしくは、自分の真意を見失うことだってあるかも。衝動は歳を重ねるとともに自然に丸め込まれていくものだからです。
これらをすべて振り払って、剥き出しの暴力性を本気でぶつけてくるような、果物から最後の果汁をひり出す一絞りのような、純潔さと高潔さの追求の先にだけキラリと光る美が眠っていると私は信じています。
貴下の従順なる下僕 松崎より