Category: 小品

music

私の愛しいアップルパイへ

システムエンジニアの仕事を6年半続けて1つだけ分かったことがあります。そこは私の死に場所では無かったということです。

そして私は音楽の道にトラックのごとく突進することを決意し、自由を求める獅子の如く立ち上がったんです。

私は会社を退職し、ブログを軸にフリーランスとして活動をはじめました。

◇作曲時間がなかなか確保できない歯痒い日々

会社を辞めた直後はそれなりに苦労もしました。えもしれない不安に足を掴まれ、貯金は底を尽きました。それについては以下の記事に書いた通りです。

1年後には仕事もそれなりにかたちになりましたが、大きな悩みが1つありました。それは作曲時間がほとんど取れなかったことです。なんと歯痒い日々!

組織の中で仕事を割り振られているのと、自らの名前で仕事を見つけてくるのは大きく違いました。どれだけ仕事をすれば良いかなんて決まっていませんから、体力の限り働き続けてしまいます。好きな仕事ですし、なかなか手を止める暇をつくれませんでした。

それに、仕事を減らしてまた貯金が尽きるのはごめんです。少し仕事量が多いくらいのほうが安心できます。作曲時間はもちろん大事ですが、生活できなければ本末転倒というものです。

もう少し仕事が落ち着いたら思いっきり作曲時間を確保しようと思っていたんです。いつかは分かりませんが、そう遠くない未来、仕事が軌道にのったら週に2日は音楽に没頭する時間を作るんです。スタジオを借りたりするのもいいかも。その環境が整うまでは執筆や講演に集中した方がベターでありませんか。

本心かって?

、、、ええ、分かってますよ。表向きにはそれらしい理由ですが、結局のところ、これらは自分を偽って現実を都合良く歪曲するための言い訳に過ぎなかったってことをです。

実は、私だって心の奥底では薄々感づいていたんですよ。作曲時間がなかなか確保できない原因は他にあるって。

◇作曲する時間がとれなかった本当の理由

会社を辞めてもなかなか作曲時間が作れなかったのは、心の奥底で私自身がそう望んでいたからです。信じられますか。他でもないこの私が!?

告白します。作曲時間がない本当の原因は、心の奥底では可能性の中に逃げ込みたいと思っていたからです。考えてもみてください。会社を辞めて、自由な時間が増えて、作曲を優先すれば音楽活動において待ったなしの勝負が始まってしまいます。

自身の音楽的才能について否応もなく現実をつきつけられるわけです。

だから、信じたくありませんが、、、だから「仕事が忙しいから」「お金がないから」「時間が足りないから」といった理由を持ちだしたほうが都合が良かったのです。この理由があれば、良い曲が作れなくて他人に受け入れてもらえなかったり、自分で満足できる曲が作れなかったときの恐怖に言い訳できるからです。

その裏には「時間さえあれば俺にだって、、、」というしたたかな優越感が潜んでいました。なんと矮小で卑しくてしみったれた考えでしょう。これに気づいたときには、とても認める気になりませんでした。でも、実際にはそれが本心だったんです。ガッデム、、、

◇コンプレックスが現実逃避を加速させる

なんでこんなことになってしまったのか。この現実逃避の根本にはコンプレックスがありました。あなたは私のことを自信の塊だと思っていたかもしれません。私もそう思っていたんですが、それは虚像だったんです。私の本心はコンプレックスを抱えてビクビクオドオドしていたんです。それは概ね以下のようなことです。

・音感がない
・楽器が弾けない
・理論に詳しくない
・旋律の閃きもない
・人脈がない

鼻で笑ってしまうでしょう。実際、大理石像の如く冷徹になって考えてみれば、このようなコンプレックスなど恐れる必要はないと分かるはずです。だって、どれもこれから1つ1つ解決していける問題だからです。しかも前向きな見かたをすれば、このコンプレックスは以下のような長所にも転換できるのですから。

・既存の知識にとらわれない自由な発想ができる
・純粋にリスナー視点で音楽を聴ける(純粋な美しさに気づける)

結局、作曲時間がないと嘆く私に必要だったのは時間ではなく、今のあるがままの自分を受け入れて小さな一歩を踏み出す勇気だったのです。

◇夢が叶うか叶わないかにとらわれずに生きる

一連の葛藤の中で気づいたのは、夢が叶うか叶わないかなんてことにとらわれないことの大切さです。この苦悩を持っている限り、コンパスの針が狂い続けてしまいます。詳細は以下の記事で詳しく書いたので、ご一読ください。

とにかく、作曲時間を捻出するために私がやるべきことは自分でも驚くほど単純で当たり前のことでした。

それは、納得のいく曲ができるか、人に受け入れられるかどうかなどにビクつかず、ただ一音一音、一曲一曲を真剣に作り続けることです。

▼今日の1曲は激しく。駆け巡るように。

貴下の従順なる下僕 松崎より