私の愛しいアップルパイへ
「自分の好きな音楽を、自分はいったい何故好きなのか?」
この一見単純な質問には実に深い意義が隠されています。恐らく一生付き合っていくことになる命題でしょう。
あなたも経験があるはずです。なんとも歯痒いことに、人は自分の好きなことの理由や、具体的にどういった点において好きなのか、実に曖昧な答えしか持ちあわせていません。私は音楽を聴いたり創ったりする上で、この歯痒さをずっと噛み締めてきました。
一見馬鹿げたようにも見えますが、この質問にたいしてどれだけ真摯に取り組めるかは当工場を成長させる上で重要なファクターになると確信しています。
それで、最近はこの質問に対してより明確で具体的な答えを探すべく時間を投入しているというわけです。
先日行ったのは自分が興奮する音楽の要素を50洗い出してみる作業です。好きな音楽を聴いたり、無音の中でじっとしたりしながら、とにかく自由に書き出してみました。
▼その結果はこうです。
4/4か3/4拍子、アクセントの力強さ、甘いメロディの否定、怒り、おどけるような、音程のないノイズ、オンビートのノリ、解体工事、楽器でないものを楽器として使う、瓦礫、機械的、ギター、奇妙、金属音(メタルパーカッション)、現実的で醜い容姿、原始的な機械の音、工場、行進曲、極短いフレーズの重ねあわせ、極短いフレーズの繰り返し、叫び、声、純粋さの発揮、常識と固定観念の破壊、徐々に盛り上がっていく(スパイラル)、人生賛歌、スクラップ、静寂から破壊への展開、静寂と破壊の繰り返し、濁音の響き、打撃音、単純、力への意志、直線の動き(旋律)、ディストーション、登場曲、動物的な人の声、ドラム、人間本来の力の開放、野太い男の声、破壊、バカバカしさ、爆発、破裂音、悲哀と破壊の対比、不協和音、ベース、変奏、醜醜くて泥臭い現実の美しさ、民族的(≒原始的)、無配慮、ユーモア、連打、和声・旋律・管弦の破壊、符丁やありきたりの美の否定
こうしてみると、いつも心にかけているものもあるし、普段は頭の隅に追いやられているようなものもあるのに気がつきます。
▼単語を書きだしただけでは勿体ないので、同じ性質をもった単語をいくつかのグループに分けて、それぞれ次のアクションまで決めてみました。それが以下の表です。
これを足がかりに、さらなる深堀りを進めていくつもりです。自らの音楽性を探る旅は他のどんな仕事よりもエキサイティングです :^)
▼本日の1曲はノイジーにざらついた感じで。
貴下の従順なる下僕 松崎より